会社設立おめでとうございます!
……とはいえ、登記が終わればすべて完了、ではありません。
設立登記の後にも、税務署・年金事務所・都道府県税事務所など複数の届出・手続きが待っています。中には「出し忘れると節税メリットを丸ごと失う」ものもあり、ここを乗り越えてはじめてスタートラインに立てます。
この記事では、freee認定アドバイザーの税理士が、会社設立後にやるべき届出・手続きをチェックリスト付きで一覧にまとめました。期限や注意点はもちろん、freeeやe-Taxを活用してオンラインで効率的に完了させる方法もあわせて解説します。
この記事でわかること
- 【一覧表】設立後にやるべき届出・手続きチェックリスト
- 特に重要な届出4つの詳細解説(出し忘れるとどうなるか)
- freee・e-Taxを使ったオンライン届出の効率化術
- よくある失敗例3選
登記完了はゴールではなく「スタート」です
法務局での設立登記が完了し、会社の謄本(登記事項証明書)を手にしたら、ここからが本番です。
設立後の届出・手続きは、大きく分けて以下の5つの提出先に対して行います。
- 税務署(法人税・源泉所得税・消費税に関する届出)
- 都道府県税事務所・市町村(地方税に関する届出)
- 年金事務所(健康保険・厚生年金の加入手続き)
- 労働基準監督署・ハローワーク(従業員を雇う場合)
- 金融機関(法人口座の開設)
次のセクションで、すべての届出を一覧表にまとめました。まずは全体像を把握しましょう。
【一覧表】設立後にやるべき届出・手続きチェックリスト
以下の表に、設立後に必要な届出・手続きをまとめました。☑ でチェックしながら進めてください。
■ 税務署への届出
| ☑ | 届出書類 | 提出期限 | 必須/任意 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| □ | 法人設立届出書 | 設立日から2ヶ月以内 | 必須 | 定款の写しを添付 |
| □ | 青色申告の承認申請書 | 設立日から3ヶ月以内 または第1期末のいずれか早い日 | 必須級 | 出し忘れると赤字の繰越ができない |
| □ | 給与支払事務所等の開設届出書 | 設立日から1ヶ月以内 | 必須 | 社長1人でも提出が必要 |
| □ | 源泉所得税の納期の特例の承認申請書 | 適用を受けたい月の前月末日 | 任意(推奨) | 従業員10人未満なら毎月→年2回に |
| □ | 適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイス登録) | 任意のタイミング | 取引先次第 | BtoB取引が中心なら検討必須 |
| □ | 事前確定届出給与に関する届出書 | 設立日から2ヶ月以内 | 任意 | 役員ボーナスを支給する場合 |
■ 都道府県税事務所・市町村への届出
| ☑ | 届出書類 | 提出期限 | 必須/任意 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| □ | 法人設立届出書(都道府県税事務所) | 自治体により異なる (大阪府は設立日から2ヶ月以内) | 必須 | 定款の写し・登記事項証明書を添付 |
| □ | 法人設立届出書(市町村) | 自治体により異なる (大阪市は設立日から2ヶ月以内) | 必須 | 都道府県と市町村の両方に提出 |
■ 年金事務所への届出
| ☑ | 届出書類 | 提出期限 | 必須/任意 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| □ | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 事実発生から5日以内 | 必須 | 社長1人でも加入義務あり |
| □ | 被保険者資格取得届 | 事実発生から5日以内 | 必須 | 役員報酬の額で保険料が決まる |
| □ | 被扶養者(異動)届 | 事実発生から5日以内 | 該当者のみ | 扶養家族がいる場合 |
■ 労働基準監督署・ハローワークへの届出(従業員を雇う場合)
| ☑ | 届出書類 | 提出期限 | 必須/任意 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| □ | 労働保険 保険関係成立届 | 雇用日の翌日から10日以内 | 従業員がいれば必須 | 労働基準監督署に提出 |
| □ | 概算保険料申告書 | 保険関係成立日の翌日から50日以内 | 従業員がいれば必須 | 労働基準監督署に提出 |
| □ | 雇用保険 適用事業所設置届 | 設置日の翌日から10日以内 | 従業員がいれば必須 | ハローワークに提出 |
| □ | 雇用保険 被保険者資格取得届 | 雇用日の翌月10日まで | 従業員がいれば必須 | ハローワークに提出 |
■ その他
| ☑ | 手続き | 時期の目安 | 必須/任意 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| □ | 法人口座の開設 | 登記完了後すぐ | 実質必須 | 審査に時間がかかることも。早めに |
| □ | 会計ソフトの導入・初期設定 | 設立後すぐ | 推奨 | 初期から導入すると経理が楽に |
| □ | 役員報酬の決定・議事録作成 | 設立日から3ヶ月以内 | 実質必須 | → 役員報酬の決め方はこちら |
特に重要な届出を詳しく解説
一覧表のなかでも、出し忘れると大きな損をする届出を4つピックアップして解説します。
青色申告の承認申請書(出し忘れ厳禁!)
青色申告の承認申請書は、法人版の「青色申告」を適用するための届出です。
提出しないと白色申告となり、以下のメリットを受けられなくなります。
- 欠損金の繰越控除:赤字を最大10年間繰り越して、将来の黒字と相殺できる
- 少額減価償却資産の特例:30万円未満の資産を一括で経費にできる(令和8年度税制改正で40万円未満になります)
- 各種税額控除の適用
創業期は赤字になることも多いため、赤字を繰り越せないのは致命的です。
期限を1日でも過ぎると、第1期は白色申告になります。設立したらまず最初にこの届出を準備しましょう。期限は「設立日から3ヶ月以内」または「第1期末」のいずれか早い日です。
源泉所得税の納期の特例の承認申請書
役員や従業員に給与を支払うと、会社は源泉所得税を天引きして税務署に納付する義務があります。原則は毎月10日までに納付しなければなりません。
しかし、従業員が常時10人未満の会社であれば、この届出を提出することで年2回(7月と1月)の納付に変更できます。
- 1月〜6月分 → 7月10日までに納付
- 7月〜12月分 → 翌年1月20日までに納付
毎月の納付は手間もかかりますし、うっかり忘れるとペナルティの対象になります。創業期の小規模な会社には、ほぼ必須の届出と言えます。
インボイス登録(適格請求書発行事業者の登録申請書)
インボイス登録をするかどうかは、取引先次第で判断が変わります。
- BtoB(法人向け)取引が中心 → 取引先がインボイスを求める場合が多い。登録しないと取引先が仕入税額控除を受けられず、取引に支障が出る可能性あり
- BtoC(個人消費者向け)取引が中心 → 消費者はインボイスを必要としないため、登録しなくても影響は少ない
なお、資本金1,000万円未満の新設法人は、原則として設立1期目・2期目は免税事業者です。インボイス登録をすると課税事業者になるため、消費税の負担が発生します。
インボイス登録は「メリット・デメリットを理解した上で」判断しましょう。判断に迷う場合は当事務所にご相談ください。
社会保険の加入届(社長1人でも必須)
法人は、社長1人だけの会社であっても健康保険・厚生年金への加入が義務です。
「まだ売上がないから」「役員報酬を0円にしているから」という理由で届出を放置する方がいますが、加入義務があることに変わりはありません。届出を放置していると、年金事務所から催告が届くことがあります。
なお、役員報酬が0円の場合は、報酬が発生した時点で届出を行うことになります。この場合でも、国民健康保険・国民年金には個人として加入しておく必要があります。
【DX活用】freeeを使えば届出の多くはオンラインで完結する
「届出書類がこんなにあるのか……」と思われたかもしれません。
しかし、今はオンラインで効率的に処理する方法があります。紙に手書きして税務署の窓口に並ぶ時代は終わりました。
freee会社設立で届出書を一括作成
freee会社設立を使えば、必要事項を画面に入力するだけで、設立後に必要な届出書類を一括で作成できます。
作成できる主な届出書類は以下のとおりです。
- 法人設立届出書(税務署・都道府県・市町村)
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認申請書
書式を調べたり、手書きで記入したりする手間がなくなるので、届出にかかる時間が大幅に短縮されます。
e-Taxでオンライン提出
税務署への届出は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使えばオンラインで提出できます。税務署に行く必要はありません。
また、設立登記の際にマイナンバーカードを使った場合は、法人設立ワンストップサービスを活用すれば、税務署・都道府県・市町村・年金事務所への届出をまとめてオンラインで提出することも可能です。
freee会計で経理業務もDX化
届出が終わったら、次は日々の経理業務です。
設立直後からクラウド会計ソフト(freee会計など)を導入しておくと、銀行口座やクレジットカードとの自動連携により、記帳作業が大幅に効率化されます。
「決算のときにまとめてやればいいか」と後回しにすると、1年分の領収書や明細を一気に処理することになり、非常に大変です。設立直後からの導入を強くおすすめします。
当事務所はfreee認定アドバイザーです。freeeの導入・初期設定・経理フローの構築までサポートしています。「何から始めればいいかわからない」という方もお気軽にご相談ください。
よくある失敗例3選
失敗例① 青色申告の申請を忘れて1期目が白色申告に
最も多い失敗です。設立直後はやることが多く、届出を後回しにしているうちに期限が過ぎてしまうケースがあります。
第1期に赤字が出ても繰り越しできず、翌期以降の黒字と相殺できないため、数十万円〜数百万円の損失につながることもあります。
失敗例② 納期の特例を知らず、毎月源泉税を納付していた
手続き自体は間違っていませんが、毎月の納付は手間がかかります。特に創業期は本業に集中したいはずです。
従業員10人未満であれば年2回の納付にできるので、知っているかどうかで事務負担が大きく変わります。
失敗例③ 社会保険の届出を放置して年金事務所から催告
「まだ売上がないから」「もう少し軌道に乗ってから」と社会保険の届出を放置していると、年金事務所から届出を促す文書が届くことがあります。
法人は社長1人でも社会保険の加入義務があるため、放置は避けましょう。届出が遅れた場合、設立日に遡って保険料を徴収されることもあります。
届出が終わったら「役員報酬」を決めましょう
届出・手続きが一段落したら、次に決めるべきは「役員報酬の額」です。
役員報酬は事業年度の開始から3ヶ月以内に決定する必要があり、一度決めたら原則1年間変更できません。設定を間違えると、年間で数十万円の損をする可能性があります。
役員報酬の決め方については、具体的なシミュレーション付きで以下の記事に詳しくまとめています。
まとめ
会社設立後の届出・手続きは種類が多く、提出先も期限もバラバラです。しかし、チェックリストを使って一つずつ潰していけば、確実に完了できます。
■ この記事のポイント
- 青色申告の承認申請書は最優先。出し忘れると赤字の繰越ができない
- 社会保険は社長1人でも加入義務あり
- freee会社設立やe-Taxを使えば、届出の多くはオンラインで完結する
- 届出が終わったら、次は役員報酬の決定(3ヶ月以内)
「届出から経理の仕組みづくりまで、まるごとお任せしたい」
設立後の届出代行・freee導入支援・役員報酬シミュレーションまでワンストップでサポートします。
創業期の経営者の方は、お気軽にご相談ください。
※本記事の内容は2026年4月時点の法令・制度に基づいています。今後の制度改正により内容が変更となる場合があります。
※届出の期限や必要書類は、自治体や個別の状況により異なる場合があります。詳細は所轄の税務署・年金事務所等にご確認ください。

