【創業・法人成りに強い税理士の選び方】失敗しない5つのチェックポイント|税理士が本音で解説

「そろそろ税理士を探したいけど、どうやって選べばいいかわからない……」

会社を設立した方、これから法人成りを検討している方から、このご相談をよくいただきます。

正直にお伝えすると、税理士選びに「正解」はありません。しかし、「失敗パターン」にはハッキリした共通点があります。

この記事では、創業期の経営者の方に向けて、税理士である筆者が本音で「税理士の選び方」を解説します。「税理士にはこういう点を確認してください」とお伝えするのは少し変な話ですが、だからこそ業界の内側からしか見えないポイントをお伝えできると思っています。

この記事でわかること

  • 創業期に税理士が必要な本当の理由
  • 税理士の3つのタイプと、創業期に選ぶべきタイプ
  • 失敗しないための5つのチェックポイント
  • 税理士の探し方と注意点(紹介・検索・マッチングサイト)
  • 初回面談の前に準備しておくと良いこと

1. 創業期に税理士が必要な本当の理由

「freeeを使えば自分でできるのでは?」という声も聞きます。たしかに、日々の記帳はクラウド会計ソフトで十分対応できます。

しかし、創業期こそ税理士が必要です。その理由は3つあります。

理由① 「最初の判断」が後から取り返せない

役員報酬の設定、青色申告の届出、消費税の課税選択、決算月の決定……。創業期の判断は、一度決めると1年間変更できないものが多く、間違えると年間数十万円の損失につながることもあります。

これらの判断を「なんとなく」で決めるのと、税理士と相談した上で決めるのとでは、結果が大きく変わります。

理由② 融資の成否に直結する

創業融資を検討している場合、1期目の決算書の数字が融資審査にそのまま使われます。決算書は後から作り直すことができないため、期首の段階から「融資に通る決算書」を意識して経営する必要があります。

資金調達に強い税理士であれば、役員報酬の設定から経費の計上方法まで、融資審査を見据えたアドバイスが可能です。

理由③ 本業に集中できる

創業期は営業・サービス開発・採用など、やるべきことが山積みです。経理や税務に時間を取られると、本業の成長スピードが落ちます。税理士に任せるべきところは任せ、社長は本業に集中する。これが創業期を乗り切る現実的な選択です。

2. 税理士の3つのタイプを知る

税理士を探す前に、税理士にも「タイプ」があることを知っておきましょう。大きく3つに分けられます。

タイプ特徴向いている会社費用感(年間)
①記帳代行型領収書や通帳を預ければ記帳から申告まですべてやってくれる。経営者は経理作業から完全に解放される経理にまったく時間をかけたくない会社30〜60万円
②申告特化型日々の記帳は会社が行い、決算・申告だけ依頼する。費用は抑えられるが、期中のアドバイスは少ない。自分で記帳でき、費用を最小限にしたい会社
税務の論点を把握している会社
15〜30万円
③経営支援型記帳・申告に加え、節税提案・資金調達支援・経営計画の策定など、経営のパートナーとして関わる融資を受けたい、事業を成長させたい会社50〜100万円

※創業時の会社の費用感です

創業期の会社にとって最も重要なのは、「申告を正しくやってくれること」だけではなく、「経営の意思決定を一緒に考えてくれること」です。

特に融資を検討している方や、事業を大きくしていきたい方は、③の経営支援型の税理士を選ぶことで、税理士費用以上のリターンが得られる可能性が高いです。

「安さ」だけで選ぶのは最も多い失敗パターンです。年間の顧問料が10万円安くても、役員報酬の設定ミスで年間30万円損をしたら意味がありません。費用ではなく「費用対効果」で考えましょう。

3. 創業期の税理士選び、5つのチェックポイント

では、具体的にどんな基準で税理士を選べばよいのか。創業期の経営者が確認すべき5つのチェックポイントをお伝えします。

チェック① 創業・法人成りの支援実績があるか

税理士にもそれぞれ得意分野があります。相続専門の税理士に創業支援を依頼しても、必ずしも最適なアドバイスが得られるとは限りません。

確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 会社設立や法人成りの支援実績があるか
  • HPに創業支援の事例やコラムが掲載されているか
  • 創業期特有の論点(役員報酬・届出・消費税の判断など)について具体的に説明できるか

初回面談で「創業期の役員報酬はどう決めるべきですか?」と聞いてみてください。具体的な数字やシミュレーションを交えて答えてくれる税理士は、創業支援の経験が豊富です。

チェック② 資金調達(融資)のサポートができるか

創業期に日本政策金融公庫や制度融資を検討している方は、資金調達に強い税理士かどうかを必ず確認してください。

資金調達に強い税理士は、以下のようなサポートが可能です。

  • 融資審査に通りやすい創業計画書の作成支援
  • 融資に有利な決算書になるような会計処理のアドバイス
  • 金融機関との面談対策
  • 融資実行後のフォロー(返済計画・資金繰り管理)

「決算書を作るだけ」の税理士と「融資を見据えた決算書を設計できる」税理士では、融資の成否が変わることがあります。

チェック③ クラウド会計(freeeやマネーフォワードクラウド)に対応しているか

2026年現在、クラウド会計ソフト(freee会計・マネーフォワードクラウド会計など)を導入する創業企業は非常に増えています。

しかし、税理士側の対応状況はまちまちです。確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • freeeやマネーフォワード等のクラウド会計に対応しているか
  • 導入支援や初期設定のサポートをしてくれるか
  • クラウド上でリアルタイムにデータ共有できる体制があるか

クラウド会計に対応していない税理士の場合、紙の資料を定期的に郵送するなど、やり取りに手間がかかることがあります。また、freeeの認定アドバイザーであれば、freeeの操作や設定について的確なサポートが期待できます。

チェック④ 料金体系が明確か

税理士の費用は、事務所によって体系が大きく異なります。後から「こんなに費用がかかるとは思わなかった」と後悔しないために、以下の点を事前に確認しましょう。

  • 月額顧問料にどこまでのサービスが含まれているか(記帳代行は別料金か?)
  • 決算申告料は別途かかるか、いくらか
  • 年末調整・法定調書などの付随業務の費用
  • 税務調査の立会い費用は別途か
  • 相談は何回まで無料か、メール・チャット相談は含まれるか

見積書をもらう際は「年間トータルでいくらかかるか」を聞くのがポイントです。月額顧問料が安くても、決算料が高額だったり、オプション費用が多いと、年間の総額では割高になることがあります。

チェック⑤ レスポンスの速さと相性

意外と見落とされがちですが、実務上もっともストレスになるのが「レスポンスの遅さ」です。

創業期は判断のスピードが命です。「融資の面談が来週なのに、税理士から返事が来ない」「役員報酬を今月中に決めないといけないのに、連絡がつかない」——こうした状況は実際によく起きます。

初回面談の段階で、以下をチェックしましょう。

  • 問い合わせからの返信は速かったか(24時間以内が目安)
  • 連絡手段は柔軟か(電話だけでなくメール・チャット・LINEに対応しているか)
  • 担当者(管理者)は代表税理士か、それともスタッフか
  • 話しやすいか、質問に対して丁寧に答えてくれるか

税理士は長期的なパートナーです。スキルや費用だけでなく、「この人に経営の相談をしたいと思えるか」という直感も大切にしてください。

4. 税理士の探し方と注意点

チェックポイントがわかったところで、具体的な探し方を見ていきましょう。それぞれにメリット・デメリットがあります。

4-1. インターネット検索(HP)

「大阪 税理士 創業」「税理士 法人成り 大阪」などで検索する方法です。

メリットデメリット
HPで事務所の特徴・実績・料金をじっくり比較できる情報が多く、絞り込みに時間がかかる
費用がかからないHPの印象と実際の対応が異なることもある

見るべきポイント:HPにお役立ち情報やコラムが充実している事務所は、その分野への知見が深い証拠です。料金表が明示されているかどうかも重要なチェック項目です。

4-2. 知人・経営者仲間からの紹介

メリットデメリット
実際に利用した人の生の評価が聞ける紹介者にとって良い税理士が自分にも合うとは限らない
信頼できる人からの紹介は安心感がある合わなかった場合に断りにくい

注意点:紹介は最も成約率が高い方法ですが、「断りにくさ」がリスクです。紹介を受けても、必ず自分の目で確認し、合わないと感じたら断る勇気を持ちましょう。業種や会社の規模が違えば、求めるサービスも異なります。

4-3. 税理士紹介サイト・マッチングサイト

税理士ドットコム、ミツモア、freee税理士検索などのサービスです。

メリットデメリット
条件を入力するだけで複数の候補が見つかる初年度の税理士報酬は安価だが、2年目以降は高額になることが多い
無料で利用できるサイトが多い価格競争になりがちで、サービスの質が見えにくい

4-4. 商工会議所・金融機関からの紹介

メリットデメリット
公的機関からの紹介で信頼性が高い紹介される税理士の選択肢が限られる
無料相談会で直接会える場合がある創業支援に特化しているとは限らない

おすすめの使い方:いずれの方法でも、必ず2〜3名の税理士と面談し、比較した上で決めることをおすすめします。1名だけの面談で決めると、比較対象がないため適正な判断ができません。

5. 初回面談の前に準備しておくと良いこと

税理士との初回面談を有意義なものにするため、以下を準備しておくとスムーズです。

■ 準備チェックリスト

準備するものなぜ必要か
事業内容の概要何をやっている会社か、売上の見込みはいくらかを説明できると、税理士からの提案精度が上がる
現在の課題・悩み「融資を受けたい」「経理がわからない」など、具体的に伝えたほうが良い
税理士への依頼範囲のイメージ記帳も任せたいのか、申告だけでいいのか。範囲によって見積額が変わる
予算感月額いくらまで出せるかの目安があると、税理士側も適切なプランを提案しやすい
聞きたい質問リスト面談は緊張するもの。聞きたいことを事前にメモしておくと、聞き忘れを防げる

■ 面談で聞くべき5つの質問

面談の際に、以下の質問をしてみてください。回答の内容と姿勢で、その税理士が自社に合うかどうかが見えてきます。

  1. 「創業期の会社の支援実績はどのくらいありますか?」
    実績の有無と、具体的なエピソードが出てくるかがポイント
  2. 「役員報酬はいくらに設定すべきだと思いますか?」
    具体的な数字で答えてくれるか、シミュレーションの提案があるか
  3. 「融資のサポートはしていただけますか?」
    創業計画書の作成支援や金融機関との交渉サポートの有無
  4. 「freee(またはお使いの会計ソフト)には対応していますか?」
    対応していない場合、別の会計ソフトへの乗り換えを求められることがある
  5. 「普段の連絡手段と、返信の目安を教えてください」
    メール・チャット対応の有無、返信スピードの目安

6. よくある失敗パターン3選

失敗①「安さ」だけで選んだ

月額顧問料が安い税理士に依頼したが、実際には決算料やオプション費用が高額で、年間トータルでは割高だった。しかも節税提案がなく、結果的に他の事務所に依頼していれば数十万円は節税できていた……というケースがあります。

失敗② 紹介で断れなかった

知人の紹介で税理士と契約したが、業種が違うため的確なアドバイスが得られない。しかし紹介者の手前、変更を言い出せず、そのまま数年が経ってしまった……というケースです。

失敗③ レスポンスが遅く、機会を逃した

融資の申込みに必要な書類の準備を税理士に依頼したが、なかなか対応してもらえず、融資のタイミングを逃してしまった。創業期はスピードが命なのに、税理士のペースに合わせざるを得なかった……というケースです。

税理士を選ぶ際の最も大切な基準は「この人に、自分の会社の数字を全部見せて、経営の相談をしたいと思えるか」です。スキルや費用も重要ですが、最後は「人」で決まります。

7. まとめ

創業期の税理士選びは、その後の経営に大きな影響を与えます。「なんとなく」で決めるのではなく、自分の会社に合った税理士を、自分の目で選ぶことが大切です。

■ この記事のポイント

  • 創業期こそ税理士が必要。最初の判断ミスは取り返しがつかない
  • 税理士には3タイプある。創業期は「経営支援型」がおすすめ
  • 選ぶ基準は①創業実績 ②融資対応 ③クラウド会計対応 ④料金の明確さ ⑤レスポンスと相性
  • 必ず2〜3名と面談して比較する
  • 「安さ」ではなく「費用対効果」で判断する

「まずは話を聞いてみたい」で構いません

当事務所は、創業支援・資金調達・freee導入に強い税理士事務所です。

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※本記事は特定の税理士事務所・紹介サービスを推奨・批判するものではありません。
※税理士への依頼費用は、事務所の所在地・サービス内容・会社の規模などにより異なります。

この記事を書いた人

吉岡 博和

ペネトレイト会計事務所 代表税理士