【創業1年目の経理】freeeで始める法人経理の基本~これだけやれば決算で困らない~

「会社を設立したけど、経理って何をすればいいの?」

創業したばかりの社長から、このご質問をいただかない月はありません。届出も終わり、さあ本業に集中……と思った矢先に立ちはだかるのが経理の壁です。

しかし、安心してください。創業1年目の経理は、やるべきことを絞って、正しい仕組みを最初に作ってしまえば、驚くほどシンプルになります。

この記事では、freee認定アドバイザーの税理士が、創業1年目の社長がこれだけやれば決算で困らないという経理の基本を、freeeの使い方と合わせて解説します。

この記事でわかること

  • 創業1年目に必要な経理作業の全体像
  • freeeの初期設定チェックリスト
  • 毎月やるべき4つのこと(記帳・請求書・レシート保管・残高確認)
  • 創業期に頻出する仕訳例(創立費・開業費・資本金など)
  • 決算で慌てないための四半期チェックポイント
  • 税理士に依頼すべきタイミング

1. 創業1年目の経理、全体像を把握しよう

法人の経理は、大きく分けると3つの時間軸で回っています。

時間軸やること目安の所要時間
最初だけfreeeの初期設定・口座連携1〜2時間
毎月記帳・請求書発行・経費精算・残高確認月2〜3時間
四半期ごと月次推移チェック・税理士への確認依頼1~2時間
年1回決算・法人税申告・年末調整税理士に依頼推奨

経理と聞くと身構える方が多いですが、freeeを正しく設定すれば、日々の作業は月2〜3時間程度で収まります。大切なのは「最初の設定」を正しく行うことです。

2.【初期設定】freeeを導入したら最初にやる7つのこと

freee会計を使い始めるとき、最初の設定が経理の効率を大きく左右します。以下の7項目を順番に設定してください。

■ freee初期設定チェックリスト

順番設定項目ポイント
1事業所の基本情報会社名・住所・事業年度・業種を入力。決算月は登記と合わせてください
2銀行口座の連携法人口座のインターネットバンキングとfreeeを連携。これが経理効率化の最大のカギです。明細が自動で取り込まれます
3クレジットカードの連携法人カードを連携しておくと、経費の記帳が自動化されます。事業用とプライベートのカードは必ず分けてください
4開始残高の設定設立時の資本金(普通預金 / 資本金)を開始残高に登録。法人成りの場合は引き継ぎ資産・負債も入力
5勘定科目の確認freeeの初期設定で一般的な勘定科目はすでに用意されています。必要に応じて追加・編集。不慣れなら初期のままでOK
6取引先の登録主要な取引先を登録しておくと、請求書発行や仕訳登録がスムーズに
7税理士の招待顧問税理士がいる場合、freee上で「メンバー招待」をしておくと、リアルタイムでデータ共有ができます

最も重要なのは「銀行口座とクレジットカードの連携」です。この2つを設定するだけで、記帳の手間が半分以下になります。必ず設立直後に設定しましょう。

3. 毎月やるべき4つのこと

初期設定が終わったら、日常の経理業務は4つだけです。

3-1. 記帳(取引の登録)

freeeでは、連携した銀行口座やクレジットカードの明細が自動で取り込まれます。取り込まれた明細に対して、勘定科目を選んで「登録」を押すだけ(+証憑を添付)で仕訳が完成します。

freeeのAI自動仕訳機能により、同じ取引先からの明細は2回目以降、過去の登録内容を推測してくれるため、登録作業がどんどん速くなります。

ポイント①溜めないこと理想は毎週、最低でも月1回は明細を確認・登録する習慣をつけましょう。溜めると何の支出だったか思い出せなくなります。
ポイント②freeeファイルボックスの活用:レシートや領収書・請求書などの書類は写真やPDFでfreeeのファイルボックスに格納します。それを登録の際に各取引に添付してください。これはかなり重要です。(3-3経費の領収書・レシートの保管参照)

3-2. 請求書の発行・管理

freee上で請求書を作成・発行できます。freeeで請求書を作成すると、売上の仕訳が自動で登録されるため、別途記帳する必要がありません。

インボイス登録をしている場合は、freeeが適格請求書の要件を満たした書式で出力してくれるので安心です。

3-3. 経費の領収書・レシートの保管

現金で支払った経費は、freeeのスマホアプリでレシートを撮影するだけで取引登録ができます。OCR機能により金額や日付を自動で読み取ってくれます。

また、電子帳簿保存法への対応として、メールで受け取った請求書やWeb上の領収書などの電子データは、紙に印刷するのではなく電子データのまま保存する必要があります。freee上にアップロードして各取引に紐づけをすれば、この要件を満たせます。

3-4. 銀行残高の確認

月末に、freee上の残高と実際の通帳(ネットバンキング)の残高が一致しているかを必ず確認してください。

ズレがあるということは、仕訳の漏れや重複、誤った金額での登録があるということです。毎月確認しておけば、ズレが見つかっても原因の特定が容易です。これを放置して決算時にまとめて確認しようとすると、12ヶ月分の取引を遡ることになり、非常に大変です。

freeeの「口座」画面で各口座の残高を確認できます。毎月5分で終わる作業ですが、経理の正確性を担保する最も重要な習慣です。

「事業用」と「プライベート」の支出は必ず分けてください。法人カードや法人口座を通さずに個人のお金で立て替えた場合は、freee上で「役員借入金」として登録します。会社のお金とプライベートのお金が混ざると、経理が複雑になるだけでなく、税務上のリスクも高まります。

4. 創業期に頻出する仕訳例

創業1年目は、通常の売上・経費以外にも設立時特有の仕訳が発生します。よくある仕訳をまとめました。

■ 設立時の仕訳

取引内容借方金額例貸方金額例備考
資本金の払込み普通預金100万円資本金100万円
定款認証手数料創立費5万円現金5万円※1
登録免許税創立費15万円現金15万円※1
設立前の名刺・印鑑作成費開業費3万円現金3万円※2
設立前のHP制作費開業費30万円普通預金30万円※2

※1 創立費:会社設立のために直接かかった費用(定款認証・登録免許税・司法書士報酬など)
※2 開業費:設立後、営業開始までにかかった費用(名刺・広告宣伝費・開業前の研修費など)

創立費・開業費はいずれも繰延資産として処理し、任意のタイミングで償却(経費化)できます。利益が出た年度に償却することで、節税効果を最大化できます。

■ 日常でよくある仕訳

取引内容借方貸方ポイント
売上の入金普通預金売上高freeeの請求書から発行すれば自動で仕訳
役員報酬の支払い役員報酬普通預金源泉所得税・社会保険料を天引きして支給
事務用品の購入消耗品費普通預金法人カードで払えば自動取込み
社長が個人で立て替えた経費該当する経費科目役員借入金後日、会社から社長に精算(返金)する
家賃の支払い地代家賃普通預金自動引落なら口座連携で自動取込み
PC等の10万円以上の備品購入工具器具備品普通預金30万円未満なら少額減価償却の特例で一括経費OK(青色申告の場合)

「役員貸付金」に要注意。会社のお金を社長個人が引き出して私的に使うと「役員貸付金」として処理されます。役員貸付金が多いと、融資審査で大きなマイナス評価を受けます。会社のお金と個人のお金は厳格に分けましょう。

5. 決算で慌てないための四半期チェックポイント

毎月の残高確認に加えて、四半期ごとに一歩引いた視点で数字を確認する習慣をつけましょう。ここが、決算で慌てるかどうかの分かれ目です。

■ 四半期チェックリスト

チェック項目確認方法なぜ重要か
月次損益の推移確認freeeのレポート → 損益レポートで月ごとの売上・経費・利益を確認異常値があれば仕訳ミスの早期発見に。経営判断の材料にもなる
未処理の取引がないかfreeeの「自動で経理」に未処理の明細が残っていないか確認放置すると決算時に大量の未処理が溜まる
税理士への確認依頼freee上のデータを税理士に共有し、仕訳の正確性や処理方法に問題がないか確認してもらう四半期ごとに確認しておけば、決算時に大きな修正が発生しない。期中の節税対策にもつながる

特に税理士への四半期確認は、決算の品質を大きく左右します。3ヶ月分ずつチェックしてもらうことで、仕訳の誤りや計上漏れを早期に発見でき、決算直前の「まとめて修正」を防げます。また、四半期時点の利益見込みが把握できるため、期中での節税対策や事業の課題解決にもつながります。

6. 年間の経理スケジュール

創業1年目の経理は、月次の作業に加えて、時期ごとに発生するイベントがあります。以下は3月決算法人の例です(決算月が異なる場合は読み替えてください)。

時期やること
毎月記帳・請求書発行・レシート保管・役員報酬支払い
7月・1月源泉所得税の納付(納期の特例を適用している場合)
7月社会保険の算定基届提出(4〜6月の報酬をもとに保険料を改定)
11〜12月年末調整の準備(社長1人でも必要)
1月法定調書・給与支払報告書の提出、償却資産申告書の提出
3月決算月 → 決算整理仕訳・棚卸し
5月末法人税・消費税等の確定申告・納付期限

7. 税理士に依頼すべきタイミング

「freeeがあれば税理士は不要では?」という声もいただきますが、結論から言うと、法人の場合は税理士への依頼を強くオススメします。

■ 日々の記帳は自分で、決算・申告は税理士に

最も効率的な体制は、日々の記帳は社長がfreeeで行い、決算・申告は税理士に依頼するという役割分担です。

freeeで日常の記帳を行うことで、税理士の作業時間が短縮され、顧問料も抑えられます。また、社長自身がリアルタイムで数字を把握できるため、経営判断のスピードも上がります。

■ こんなときは早めに税理士に相談を

  • 設立直後で、初期設定や創立費・開業費の処理に自信がない
  • 役員報酬の金額を決めかねている(→ 役員報酬の決め方はこちら
  • 融資を検討しており、決算書の見え方を意識したい
  • インボイス登録すべきか判断に迷っている
  • 消費税の課税事業者か免税事業者かの判定が必要

特に融資を検討している場合は、1期目の決算書の数字が審査に直結するため、期首の段階から税理士と二人三脚で進めることをおすすめします。

当事務所はfreee認定アドバイザーです。「freeeの初期設定がわからない」「記帳の仕方が合っているか不安」という方から、「融資に有利な決算書を作りたい」という方まで、創業1年目の経理をワンストップでサポートしています。

8. まとめ

創業1年目の経理は、最初の設定さえ正しく行えば、月2〜3時間で回る仕組みを作れます。「経理が苦手」という方でも、freeeを活用すれば本業に集中しながら必要な経理を回すことが可能です。

■ この記事のポイント

  • freeeの銀行口座・カード連携が経理効率化の最大のカギ
  • 毎月の作業は「記帳・請求書・レシート保管・残高確認」の4つだけ
  • 四半期ごとに月次推移チェック+税理士への確認依頼で決算時の修正を最小化
  • 創立費・開業費は繰延資産として処理し、利益が出た年に償却
  • 会社のお金とプライベートのお金は絶対に分ける
  • 日々の記帳はfreeeで自分で、決算・申告は税理士に

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※本記事の内容は2026年4月時点の法令・制度およびfreee会計の機能に基づいています。
※freee会計の画面・機能はプランやアップデートにより変更される場合があります。最新の情報はfreeeのヘルプセンターをご確認ください。

この記事を書いた人

吉岡 博和

ペネトレイト会計事務所 代表税理士