構造的な人手不足、持続的な賃金上昇、そして高止まりする物価・・・2025年の日本企業はかつてない経営環境の変化に直面しています。この厳しい経営環境下で、多くの企業が経済的に悪影響を受けています。この経営環境を乗り越え、企業の持続的成長を実現するには、経営者の先見性と決断力が試されています。イノベーションを推進し、組織の柔軟性を高め、新たな価値創造に挑戦する—そんな変革のリーダーシップが、今まさに求められています。
そのような中で2025年3月14日に、物価高や人手不足等の影響を受けている中小企業者に向けた新しい保証制度として協調支援型特別融資制度が中小企業庁から公表されました。この制度は、中小企業の多様な経営課題に対応し、資金調達をサポートする画期的な仕組みです。
今回は、協調支援型特別融資制度の内容について詳しく解説していきます。
協調支援型特別融資制度の趣旨
原材料の価格高騰、物価高、人手不足等の影響を受ける中小企業者に対し、金融機関のプロパー融資(保証協会の保証無し)と保証付き融資を組み合わせることで、中小企業の幅広い資金ニーズに応える制度です。この制度の特徴は、金融機関と信用保証協会が協力して、事業者の経営課題の解決を支援することにあります。3年間(2028年3月末まで)の時限措置として、開始します。
協調支援型特別融資制度のメリット
制度概要を解説する前に、メリットを4点お伝えします。
- 多様な資金需要への対応 : 経営課題解決に必要な資金を調達しやすくなる
- 保証料の優遇 : 国からの保証料補助があり、通常よりも低い保証料で利用できる【最大1/2】
- 高額融資の可能性 : 複数の金融機関が連携することで、単独融資よりも多額の融資を受けられる可能性が高い
- リスク分散 : 金融機関にとっても貸し倒れのリスクが分散されるため、融資が受けやすくなる
協調支援型特別融資制度の制度概要

要件
対象者は下記のいずれかに該当する中小企業者です。
- プロパー協調(金融機関と保証協会が協力して融資を行う)
申込金融機関からこの制度による保証付き融資を借りること、それと同時に、その保証付き融資の融資額の1割以上のプロパー融資を受けること
具体例)
①保証付き融資 1,000万円 : プロパー融資 100万円
②保証付き融資 1,000万円(借換200万円+増額部分800万円) : プロパー融資 100万円(借換50万円+増額部分50万円)
③保証付き融資 1,000万円(借換500万円+増額部分500万円) : プロパー融資 100万円(借換100万円)
①は分かりやすいですが、総額判定となりますので②③の借換を含むケースでも対象となることがポイントです。 - 計画策定とフォローアップ
申込金融機関の支援を受けつつ、経営行動計画書を作って計画通りの実行と進捗報告を行うこと
これは経営行動計画書を作成して実行しつつ、金融機関等に対して進捗報告を行う必要があります。
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保証限度額
融資限度額は最大2億8,000万円 うち 無担保8,000万円 となります。
ただ、全ての会社が上記の金額を借りれるわけではなく、会社の財務状況や決算内容を審査して限度額が決まります。限度額については金融機関にご相談ください。
保証料率と国からの保証料補助
保証料率と国からの保証料補助は、申込受付日に応じて変わります。
例)東京信用保証協会HPより
(1)2025年3月14日~2026年3月31日申し込み分

(2)2026年4月1日~2027年3月31日申し込み分

(3)2027年4月1日~2028年3月31日申し込み分

上記のとおり、申込日によって補助率が下がってきます。本制度のご利用を検討される会社様は早めの申し込みをお勧めします。また、信用保証協会によって若干料率が変わることがありますので、詳細は管轄の信用保証協会HPでご確認ください。
まとめ
今回は、協調支援型特別融資制度について解説しました。本制度を使って融資を受けることは重要ですが、融資を受けてからその資金を使って会社経営を維持・発展させるかも併せて考える必要があります。
ペネトレイト会計事務所は、融資・資金調達に強みのある会計事務所です。
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また、経営行動計画書の業種ごとのサンプルもご用意しております。それを基に経営者の皆様とじっくり相談しながらお客様に合った計画書を作成し、中期的に事業を回復させるサポートをさせていただきます。
「協調支援型特別融資制度を利用したい」、「資金調達が必要」、「融資を受けた後の事業のサポートをして欲しい」などお困りの際はご相談ください。