スタートアップ創出促進保証制度用【創業計画書】の書き方を分かりやすく解説!!

前回のお役立ち情報でスタートアップ創出促進保証制度について詳しく解説をしました。今回はその要件の一つとなるスタートアップ創出促進保証制度用の創業計画書の書き方について詳しく解説したいと思います。 

信用保証協会について

まず、信用保証協会についてですが、信用保証協会は「日本に一つ」ではありません。全国で51の信用保証協会があります。

近畿であげますと

  • 滋賀県信用保証協会
  • 京都信用保証協会
  • 大阪信用保証協会
  • 兵庫県信用保証協会
  • 奈良県信用保証協会
  • 和歌山県信用保証協会

というように各都道府県にあります。ご自身の会社の創業予定地もしくは会社の所在地によって管轄の信用保証協会があります。

各信用保証協会の通常の創業計画書との違い

だいたいどの信用保証協会でもホームページから創業計画書のフォーマットをダウンロードすることができます。

1ページ目だけで比較しますと、東京と大阪ではこのように違います。ただ、フォーマットが若干異なるだけで記載する内容はほぼ同じです。大阪信用保証協会のように業種ごとの記載例がある信用保証協会もありますので、いろいろな信用保証協会のホームページを見てご自身の業種があれば参考にしてみてください。

スタートアップ創出促進保証制度用創業計画書のフォーマット

ここからが本題です。スタートアップ創出促進保証制度用の創業計画書の書き方について解説していきます。

スタートアップ創出促進保証制度用の創業計画書は中小企業庁のホームページでエクセル形式のデータがあります。

◆中小企業庁HP スタートアップ創出促進保証制度
中小企業庁:経営者の個人保証を不要とする創業時の新しい保証制度(スタートアップ創出促進保証)を開始します。 (meti.go.jp)

◆創業計画書(スタートアップ創出促進保証制度用)フォーマット
230220startup.xlsx (live.com)

まずはこちらをダウンロードしてください。全4ページになります。

スタートアップ創出促進保証制度用創業計画書の書き方

事業概要

①会社名(予定を含む)
基本的には創業前2ヶ月以内~の申込となりますので会社名は決めておきましょう

②開業(予定)住所
こちらも同じく予定の場所も決めておく必要があると思います。大阪で申し込んだのに創業地が東京になりますと管轄が異なるためです。

③設立登記(法人)
登記済みの場合は「有」、未登記の場合は「無」です。

④設立(予定)年月日
登記済みの場合は「設立年月日」、未登記の場合は「設立予定年月日」を記載

⑤業種
日本標準産業分類を参考に記載
総務省HP 日本標準産業分類 総務省|統計基準等|日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名 (soumu.go.jp)

⑥資本金
登記済みの場合は謄本より、未登記の場合は予定金額を記載

⑦許可等
許可が必要な業種であれば種類と根拠法を記載
例)飲食店営業許可-食品衛生法、美容所開設届-美容師法、介護保険事業所指定-介護保険法など

⑧従業員数
従業員がいる場合、創業前の場合は雇用する場合に人数を記載

⑨取扱品
取り扱う商品やサービスを記載

⑩仕入先
取り扱う商品の仕入れ先を記載。複数社ある場合は、主な仕入先2社と「ほか」でまとめてください。

⑪開業動機・目的
創業に至った経緯や事業を行う目的などを記載。こちらはなるべく細かく記載することが求められます。非常に重要度の高い項目になりますのでよく考えて記載しましょう。

⑫開業に必要な知識、技術、ノウハウの習得
事業がうまくいくかどうかの判断要素となります。やる気があってもノウハウがなければ融資は厳しい判断となるケースが多いので会社設立前にご自身の事業について経験を積んでおく必要があります。最低でも3~5年の経験は必要だと考えられます。こちらも重要度の高い項目です。

⑬出資者・出資額
資本金として出資した者及びその出資額を記載。設立前の場合は予定を記載。

⑭事業協力者の住所・氏名・勤務先
事業の協力者がいればその情報を記載

創業準備の着手状況(税務申告1期以上終了している者は記載省略可)

⑮創業準備の着手状況
創業にあたって、どの程度準備しているかを記載する項目です。特にオ、カに関して「許認可」を取得していないと融資を受けられないこともありますので、先に許認可を取得しておく必要があります。かっこ書きのとおり、1期以上の税務申告を行っている場合は記載不要です。

必要な資金及び調達の方法(税務申告1期以上終了している者は記載省略可)

⑯必要な資金及び調達の方法
創業前の場合は(1)、創業後1期目未終了の場合は(1)or(2)の選択ですが(1)を記載していただくことが望ましいです。

創業時の「設備資金」と「運転資金」を記載する項目です。それぞれ必要な資金を網羅的に記載する必要があります。資金繰りに関して把握していることが最も重要なことだからです。「計画性がある事業者」だと判断されれば、融資審査では有利です。重要度の高い項目になります。
◆設備資金・・・設備に必要な資金を記載。金額の根拠となる見積書などを取っておくことが望ましいです。
・不動産の敷金・礼金
・社内で使用するPCやサーバーの費用
・プリンターなど業務に必要な機械の導入費用
・店舗の内装・外装の工事費
など
◆運転資金・・・会社の事業が安定するまで設備以外にかかる費用を記載。3ヶ月から6ヶ月でかかる経費を記載するのが一般的です。
・従業員の給与
・物件の家賃
・商品の仕入れ代
・光熱費
など
◆自己資金・借入金
ここで重要なのは自己資金の割合です。創業にかかる資金全体の30%〜40%程度準備できることが理想です。自己資金が多い事業者は、創業に対する熱量や計画性、返済能力があると判断されるため融資審査では有利となります。
◆自己資金割合確認欄
計算式のとおり計算してください。創業前もしくは創業後税務申告1期未終了の場合は自己資金割合10%以上の要件を満たさなければそもそも融資が不可となります。
◆補足ですが、創業後税務申告1期未終了の場合は、創業時から申込日現在で会計処理が終わっている月までの月次推移表及び累計の試算表を別紙として添付することが望ましいです。

収支計画(今後1年間分)

⑰収支計画(今後1年間分)
1年間の損益を千円単位で記載してください。
左側が仕入や経費などのお金が出ていく項目、右側が売上などのお金が入ってくる項目です。
急に1年間の損益の予測を記載するのは難しいと思いますので、計算の根拠として下記の日本政策金融公庫の月別収支計画書のように1ヶ月毎の損益を作ることが望ましいです。日本政策金融公庫HPにフォーマットと見本がありますのでお使いください。
また、面談時には売上や経費の計算根拠を聞かれるケースがありますので、その際は下記の月別収支計画書を提出して説明すると有利になります。

日本政策金融公庫HPより 各種書式ダウンロード|国民生活事業|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)

販売・仕入先

⑱販売・仕入先
上記4.売上高、仕入高の相手先について記載します。
「主な」販売先/仕入先ですので、取引金額が多い3つの相手先を記載してください。「回収方法/支払方法」は現金or掛けです。

借入金等状況

⑲借入金等状況
今回申込を行う借入金以外で、現在借入金がある場合に記載してください。
経営者本人が負担している非事業性の借入金も記載してください。借入金があるにも関わらず記載しない方もいらっしゃいますが、金融機関/保証協会側で調べればわかります。正しく書きましょう。「資金使途」は設備資金or運転資金になります。細かく書く場合は仕入販売による季節資金、賞与・納税資金などがあります。

その他(計画に関する補足説明)

「その他欄は書いた方が良いですか?」というお問い合わせを多くいただきますが、答えは「Yes」です。最低限記載すべきことを並べているフォーマットであるため、これだけでは融資担当者も判断しづらいところが多々あります。
補足すべき書類の代表的なものは以下のとおりです。

  • 創業動機
    経営者ご自身の経歴とともに、創業動機を積極的に記載することが望ましいです。
  • 事業内容/自社の強み、セールスポイント/競合状況
    事業内容や取り扱う商品・サービスの詳細と他にはない自社の強みをアピールしてください。また、競合他社がありましたら競合他社との違いを書くことも必要です。市場調査・分析もしっかりできているアピールポイントになります。
  • 成長性、成功ポイント
    事業の成長性や、競合がある中で自社が生き残るためのポイント、成功するために行っている取組などを記載してください。
  • 月別収支計画書
    ⑰のとおり月別の収支計画です。計画が作れなければ事業はうまくいきません。逆に事業がうまくいっている会社は必ず計画を作っています。根拠があるしっかりした計画の有無も融資審査の重要項目となります。

まとめ

今回は、スタートアップ創出促進保証制度用の創業計画書の書き方について解説しました。計画書の作り方しだいで融資を受けられない場合もありますので、十分に考えて作成していただくことをお勧めします。また、融資はお金を借りることが目的ではありません。重要なのは融資を受けた資金を基にご自身の事業を発展させることです。資金の使い方を間違わないようにしてください。

ペネトレイト会計事務所は、融資・資金調達に強みのある会計事務所です。
融資サポートの実績があり、事業計画の作成や面談対策など、融資を受けるための一連の手続きをサポートさせていただきます。
また、事業計画書の業種ごとのサンプルもご用意しております。それを基に経営者の皆様とじっくり相談しながらお客様に合った計画書を作成し、事業を発展させるサポートをさせていただきます。
「スタートアップ創出促進保証制度」を利用したい、「資金調達が必要」などお困りの際はご相談ください。

この記事を書いた人

吉岡 博和

ペネトレイト会計事務所 代表税理士