ゼロゼロ融資の借り換え?2022年11月1日の報道を解説!!

2022年11月1日に、「ゼロゼロ融資の借り換え」について下記のとおり報道されました。今回はこの報道内容について解説していきます。

経済産業省は1日、新型コロナウイルス対策として実施した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済負担を軽減するための借り換え保証制度の案を示した。保証限度額は1億円とし、民間金融機関のゼロゼロ融資の上限額の6000万円を超す設定とする。

同日に開催した中小企業政策審議会で示した。100%保証の融資は借り換え後も100%での保証を維持し、保証料は低い水準に設定する。保証期間は10年以内、元本の返済を猶予する期間は5年以内とする。有識者の意見を踏まえたうえで、財務省などと調整し正式決定する。

ゼロゼロ融資はコロナ禍で売り上げが減少した中小企業を支援するため導入した。2023年7月以降に返済が本格化するため、経産省は今後借り換え需要が高まるとみている。

日本経済新聞 2022年11月1日 朝刊より引用

ゼロゼロ融資とは

ゼロゼロ融資とは、新型コロナウイルス感染症の影響で売上が低下した起業に対し、無利子・無担保で融資を行うことです。このゼロゼロ融資がスタートしたのは、2020年3月。中小企業の資金繰りを支えるため、「無利子」「無担保」という形が取られていました。

「元本」は、もし中小企業が行き詰まり返済ができなくなった場合に国などが財政面で支援している信用保証協会が返済を肩代わりします。「利子」については、借入期間全てに対してではなく、3年間の期限付きで都道府県が負担します。

日本政策金融公庫では、条件を満たした中小企業には最大3億円の融資をしています。設備資金は最長20年、運転資金は最長15年と長期の借入に対応しており、借入後数年間は元本返済の遅らせることができる「据え置き期間」も設けられています。

このように、ゼロゼロ融資は新型コロナウイルス感染症の影響によりダメージを受けた中小企業にとって、経営危機を乗り越えるための資金調達方法として重宝されていました。

ゼロゼロ融資の申込はいつまで?

このゼロゼロ融資の申込は

民間の金融機関は、~2021年3月末まで

日本政策金融公庫は、~2022年9月末まで

で終了しています。そのため、現在はこのゼロゼロ融資制度で融資の申込を行うことはできません。

新型コロナウイルス関連の融資制度にかかる中小企業基盤整備機構が行う特別利子補給制度(実質無利子化)は、令和4年9月30日(金)のお借入申込受付分をもちまして、取扱いが終了となりました。

日本政策金融公庫 (jfc.go.jp) HPより

ゼロゼロ融資はすでに返済が始まっている?

このゼロゼロ融資ですが、一部報道では、すでに元本の返済が始まっているとありました。

全国地方銀行協会の柴田久会長(静岡銀行頭取)は16日に開いたオンライン記者会見で、新型コロナウイルス禍での実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)について「2021年9月末で残高がある約40万件のうち、既に4割で返済が始まり、今年9月末までにおよそ5割に上る見通し」と述べた。会員62行の21年9月末の残高は約7兆5400億円だった。

日本経済新聞 2022年3月16日 より引用

ゼロゼロ融資は「据え置き期間」が設けられているものの、すでに元本の返済がスタートしているようです。また、利子に関しては、2020年3月にゼロゼロ融資の制度にて借入を行った中小企業は、2023年3月から利子の支払いが発生してしまうことになります。

ゼロゼロ融資の借り換え?2022年11月1日の報道を受けて

冒頭で日本経済新聞の報道を引用しましたが、経済産業省はこのゼロゼロ融資の返済負担軽減に向けて、借り換え保証制度案を示しました。

政府原案の内容は以下のとおりです。

制度対象者 :売上や利益率が一定程度減少した個人事業者、中小企業
保証限度額 :1億円
保証期間  :10年以内
据え置き期間:最長5年間
条件    :収益力改善を促すため、金融機関と協力し、経営指標の改善目標を盛り込んだ計画の作成

今後、有識者の意見を踏まえた上で財務省などとと調整し正式に決定されるとのことです。

この借り換えの原案が検討されている背景は、ゼロゼロ融資の元本返済が始まったことで、体力のない中小企業の倒産は今後増加していくと考えられます。

東京商工リサーチ 引用

2022年度上半期(4~9月)の全国企業倒産は、3,141件(前年同期比6.9%増)。4月~9月までの6ヶ月連続で前年同月を上回っています。2022年上半期の「新型コロナウイルス」関連倒産は1,121件(前年同期比36.3%増)で、9月は過去最多の210件が発生し、倒産の件数が増えてきています。

このままですと、さらに景気の悪化を招くことが想定されるため、借り換え制度を創設することによって倒産を先送りにし、その間で事業構造を返還することによって中小企業の事業継続・発展を支えていこうと考えているようです。ただ、単純な延命措置だけではなく、経営指標の改善目標を盛り込んだ計画の作成を条件としているため、具体的に改善案を示し認められた中小企業のみを救う原案となっています。

まとめ

ゼロゼロ融資の借り換えは、新型コロナウイルス感染症の影響だけではなく、原油価格・物価高騰によりダメージを受けた中小企業にとっては救世主となることが考えられます。

資金調達を受けただけでは、ただの延命措置にしかならないため、中小企業は事業内容の見直し・事業転換を行うことによって事業の継続・発展に繋げていただきたいです。

なお、事業転換を行う際は事業再構築補助金を利用することも可能です。こちらも併せて検討してみてください。

本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難
い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態
転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構
築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的と
します。

事業再構築補助金 (jigyou-saikouchiku.go.jp) 公募要領より引用

ペネトレイト会計事務所は、融資・資金調達に強みのある会計事務所です。
融資サポートの実績があり、事業計画の作成や面談対策など、融資を受けるための一連の手続きをサポートさせていただきます。
「ゼロゼロ融資の借り換えをしたい」、「資金調達が必要」、「ゼロゼロ融資の借り換えと事業再構築補助金とセットで考えたい」など、お困りの際はご相談ください。

この記事を書いた人

吉岡 博和

ペネトレイト会計事務所 代表税理士