コロナ禍の事業者を救った「ゼロゼロ融資」(実質無利子・無担保融資)。その返済が、いよいよ最後の山場を迎えます。2026年4月から9月 が、据置期間終了の最終ピークです。物価高・人件費高騰・人手不足が重なる中、資金繰りに不安を抱える経営者の方へ、いま打てる手を整理しました。
この記事でわかること
- ゼロゼロ融資の現状と「最後の返済ピーク」の意味
- 取れる3つの選択肢(借換保証・経営改善サポート保証・リスケ)
- 自社の状況にどの選択肢が当てはまるか
- 動くタイミングを逃さないための今すぐできる3ステップ
結論:「待つ」のは最悪の選択。動くなら今
先に結論からお伝えします。
- ゼロゼロ融資利用後の倒産は 累計2,000件を超え、まだ増勢の懸念がある
- 2026年4〜9月が 据置期間終了の最後のピーク
- 「コロナ借換保証」は2024年6月で終了済み。現在は後継制度を活用する
- 取れる選択肢は主に 3つ(経営改善サポート保証/危機対応後経営安定貸付/リスケジュール)
- いずれも 早期相談が成否を分ける。返済が止まってから動くと選択肢が激減する
「今は何とか払えている」段階で動くか、「払えなくなった」段階で動くか。この差が、その後の事業継続の可能性を大きく分けます。
1. いまゼロゼロ融資はどうなっているのか
■ 倒産件数の最新状況
東京商工リサーチの集計では、ゼロゼロ融資利用後の倒産は以下のような推移です。
| 時期 | 倒産件数 | 備考 |
|---|---|---|
| 2025年上半期 | 210件 | 累計2,002件突破 |
| 2026年1月 | 28件 | 9か月ぶりに20件台 |
| 2026年2月 | 27件 | 前年同月比18.1%減 |
足元では小康状態に見えますが、東京商工リサーチは 「2026年4月から9月に返済開始の最後のピークが控えており、今後増勢に転じる懸念」 を指摘しています。
■ 業種別では飲食・小売・建設が苦しい
倒産事例の業種を見ると、
- サービス業他(飲食含む) が最多で約半数
- 帝国データバンクの調査では 小売業・建設業 も上位
- 製造業・卸売業も影響を受けている
物価高は原材料費・仕入価格に直撃し、人手不足は人件費を押し上げます。借入返済の負担が重なれば、利益が出ていても キャッシュアウトで詰む 状況が現実に起きています。
■ なぜ「最後のピーク」なのか
ゼロゼロ融資は、概ね次のような設計でした。
- 据置期間(元金返済を猶予する期間):最大 3〜5年
- 据置期間中:利息のみ(または利息も無利子)
- 据置期間終了後:元金返済が本格化
2020年〜2021年に借りた事業者の据置期間が3〜5年で順次切れていきます。約8割の据置期間が2年以内 という分析もあり、すでに多くが返済中ですが、まだ据置中で「これから返済が始まる」という事業者が、2026年4〜9月に集中するということです。
2. 取れる選択肢① 経営改善サポート保証(経営改善・再生強化型)
「コロナ借換保証」は2024年6月30日受付分で原則終了しています。能登半島地震の被災地(石川県内の災害救助法適用地域)を除き、現在は新規申込みできません。「借換保証で対応できる」と古い情報を発信しているサイトも多いので注意してください。現在は以下の後継制度を活用することになります。
■ 概要
コロナ借換保証の後継として、「経営改善サポート保証(経営改善・再生強化型)」が新設されました。経営改善・事業再生計画に基づいて、信用保証協会の保証付き融資で資金繰りを支援する制度です。
■ 主な特徴
- 100%保証で借換可能(100%保証は100%保証で)
- 保証料率は0.3%(国の補助あり)
- 保証限度額は上限2.8億円
- 保証期間は15年
- 認定支援機関の指導・助言を受けて作成した 経営改善・事業再生計画 が前提
■ 「強化型」が新設された背景
中小企業庁は、コロナ借換保証の終了に伴い、物価高・人手不足の影響を受ける中小企業向けに 「経営改善サポート保証(経営改善・再生強化型)」 を新設しました。従来の経営改善サポート保証よりも対象を広げ、早期の予兆段階から支援できるよう設計されています。
「ヤバくなる前に動く」ことを支援するための制度——これが、中小企業庁が出している強いメッセージです。
■ 利用のポイント
この制度を使うには、認定経営革新等支援機関の関与のもとで経営改善計画書を作成することが前提です。形式的なものではなく、「どうやって業績を改善していくか」を金融機関とともに策定するものです。逆に言えば、事業の見直しを促す機会として活用できます。
■ 注意点
- 申込時点で 既に延滞していると利用が難しくなる
- 業種・地域によって取扱い金融機関が異なる
- 申し込みから実行まで一定の時間がかかる(計画書作成期間を含めると数ヶ月かかることも)
3. 取れる選択肢② 危機対応後経営安定貸付(日本政策金融公庫)
民間金融機関の借換ではなく、日本政策金融公庫のコロナ融資を借りていた方向けの選択肢がこちらです。

■ 概要
2024年12月で「コロナ特別貸付」が終了したことに伴い、その用途の多くが借換であったことを踏まえて新設された制度です。日本政策金融公庫のコロナ融資の借換にも対応しています。
■ 主な特徴
- 限度額:20億円
- 貸付期間:最大20年
- 基準金利を適用(コロナ特別貸付のような金利優遇はなし)
- 事業計画書の提出が必要
■ 民間融資の借換と公庫融資の借換、どちらを優先するか
ゼロゼロ融資は民間金融機関のものと日本政策金融公庫のものの2系統があります。それぞれ借換制度が異なるため、自社がどちらの融資を受けていたかを確認した上で、適切な制度を選ぶ必要があります。複数を組み合わせている場合は、メインバンクと公庫の両方と相談しましょう。
4. 取れる選択肢③ リスケジュール(返済条件変更)
新規借換や事業再生計画での対応が難しい場合の 最後の手段 がリスケです。
■ 概要
金融機関と相談して、返済額の減額や元金返済の一時停止 を交渉する手続きです。「金融円滑化法」は2013年に終了していますが、金融庁の指導もあり、現在も金融機関は条件変更に応じる姿勢を継続しています。
■ メリット
- 即効性がある(数か月以内に返済負担を軽くできる)
- 新規借入と違って審査要件が緩い
- 倒産を回避する時間が稼げる
■ デメリット
- 信用情報に影響し、新規融資が困難になる
- 改善計画の提出と進捗報告が求められる
- 経営者保証を外している場合、見直し議論が起きやすい
リスケは「最終的な選択肢」と位置づけ、まずは借換・再生計画を検討するのが定石です。
5.「3つの選択肢」の使い分け早見表
ご自身の状況にどれが当てはまるか、簡易チェックです。
| 状況 | 推奨される選択肢 |
|---|---|
| まだ返済できているが、月々の負担が重い(民間融資) | ① 経営改善サポート保証(強化型) |
| 日本政策金融公庫のコロナ融資を借換えたい | ② 危機対応後経営安定貸付 |
| 過剰債務で、抜本的な再生が必要 | ① 経営改善サポート保証(強化型)+ 認定支援機関 |
| すでに返済が止まりそう/止まっている | ③ リスケ(同時に再生支援機関へ) |
| 廃業も視野に入れざるを得ない | 早期にM&A・第三者承継の検討 |
まだギリギリ耐えている場合、早期対応の策として① 経営改善サポート保証(強化型) or ② 危機対応後経営安定貸付
再生が必要な場合は① 経営改善サポート保証(強化型)+ 認定支援機関
最終手段は③ リスケ(同時に再生支援機関へ)
6. 動くタイミングを逃さないために:今すぐできる3ステップ
ステップ1:キャッシュフローの「12か月先」を見える化する
向こう12か月の入金・出金を月単位で書き出してください。返済負担が重くなる月がいつかを把握するだけで、打ち手のタイミングが見えてきます。
ステップ2:メインバンクと早めに会話する
「返済が厳しくなりそう」と感じた段階で、メインバンクの担当者に 率直に相談 してください。多くの金融機関は、事業者から先に相談を受けた方が前向きに対応します。逆に、延滞してから相談すると選択肢が一気に狭まります。
ステップ3:認定支援機関(税理士・中小企業診断士など)に相談
借換保証も経営改善サポート保証も、認定支援機関の関与が前提 となるケースが多くあります。顧問税理士が認定支援機関に登録していれば、そのまま相談可能です。
ペネトレイト会計事務所は認定支援機関に登録していますので、当事務所にご相談いただければワンストップで対応させていただきます。
7. まとめ:「動ける時期」に動いた会社が生き残る
ゼロゼロ融資の返済ピークは、すべての中小企業にとって試練の時期です。ただし、過去のデータと制度をよく見ると、早く動いた会社ほど選択肢が多く残っている ことがわかります。
■ この記事のポイント
- 2026年4〜9月が最後の返済ピーク
- 倒産事例は累計2,000件超、業種は飲食・小売・建設に集中
- 「コロナ借換保証」は2024年6月で終了済み。後継制度を使う
- 経営改善サポート保証(強化型) → 危機対応後経営安定貸付 → リスケ、の順で検討
- いずれも 早期相談が成否を分ける
「まだ大丈夫」と思っている今が、実は最も多くの選択肢を持てるタイミングです。
ご相談はペネトレイト会計事務所まで
当事務所は 認定経営革新等支援機関 として、以下のようなご相談を承っております。
- ゼロゼロ融資の返済計画の見直し
- 経営改善サポート保証(強化型)の申請サポート
- 経営改善計画・事業再生計画の策定
- 金融機関との交渉サポート
- 事業再生・M&A・廃業の比較検討
「相談していいかわからない」「他の税理士に何と言われるか不安」という段階のご相談も歓迎しております。

