ペネトレイト会計事務所は資金調達に強みのある会計事務所ですので、融資についてのご相談をいただくことが多いのですが、その中で一番多いのはこちらです。
創業融資を申し込みましたが審査で落ちてしまいました。原因を知りたいです。
また、今後融資を受けるためにはどうしたらいいでしょうか。
みなさんが行っている事業形態や内容・置かれているご状況は異なります。そのため、個別に詳しく調査をする必要がありますが、実は共通していることが多くあります。今回は創業融資で断れる原因について主な理由を詳しく解説していきます。WEBサイトで「融資 落ちた 理由」などと検索していただければ、原因が記載されているものがたくさんありますが、本記事では実際のところ現場ではどうなの?というところまで詳しく記載していきますので、是非参考にしてみてください。
創業融資に断られる原因(1)会社の住所がバーチャルオフィス、レンタルオフィス
創業時の本店の住所をバーチャルオフィス・レンタルオフィス・コワーキングスペースとしている会社が非常に多くあります。バーチャルオフィス等のメリットは賃貸で借りるよりも初期費用が安価であるため、コストを抑えながら起業しやすいということです。イニシャルコストを低く抑えることは、起業するうえで重要な要素の一つではありますが、一方で融資審査においてはデメリットとなることがあります。
主な理由:バーチャルオフィス・レンタルオフィスは移動しやすい
バーチャルオフィス等は起業のメリットとして初期費用が安価であるということがありました。これと同じで退去する・移動する時も短期間かつ安価で行うことができます。
地方銀行、信用金庫、信用組合は「地域の方から集めたお金を地域の企業へ融資をする」という大前提があります。そのため、「バーチャルオフィスは、そもそもその地域に存在する会社ではない」であったり、レンタルオフィスは「すぐに移転してしまう」ことがあったりしますので、大前提から外れてしまうことが原因となります。また、口座開設すらできないことも往々にしてありますので、創業融資を受けたい方は注意が必要です。
ただ、最近はバーチャルオフィス・レンタルオフィスが増えてきていることから、”それだけ”を原因で断られることは少なくなってきている感覚はあります。金融機関ごとに、バーチャルオフィス・レンタルオフィスの場合の融資の通りやすさと口座開設のしやすさをまとめました。
金融機関 | 融資 | 口座開設 |
---|---|---|
日本政策金融公庫 | 〇 | ― ※民間の金融機関口座が必要 |
地方自治体 (制度融資・あっせん融資) | △ 連携先の金融機関・信用保証協会による | ー ※提携先の金融機関口座が必要 |
地方銀行 | △ | △ |
信用金庫・信用組合 | × | × |
メガバンク | × ※中小企業は基本的には対象外 | △ |
創業融資に断られる原因(2)所有と経営が分離 ※株主と社長が違う場合
社長は会社の実務の責任者ではありますが、会社を所有しているオーナーは株主です。株主が社長を任命して事業をやってもらいます。つまり、会社は株主のものです。中小企業の創業時は「株主=社長」であることが多いので特に問題はありませんが、例えば自分はお金を出して箱(会社)を作って、経営は他人に任せるなどといった場合は注意が必要です。
主な理由①社長が辞めて事業ができなくなる
創業時は意識が高く熱が入っているので、「これから一緒に頑張っていこう!!」などといってやる気になっています。しかしながら徐々に関係が悪化し、最終的には社長が辞めてしまうケースが多くあります。そうなった場合は「また違う人を連れてきて社長にすればいい」と考えている株主もいるかと思いますが、一般的にはそう簡単に見つかるわけではありません。
借りたお金を返済するためには、会社は事業を行って利益を出さなければなりません。その利益の中から金融機関にお金を返済していきます。社長が辞めた場合はどうでしょうか。当然、利益は出せませんし、事業の継続すら危ぶまれてしまいます。
残念ながら、金融機関はそのようなリスクのある会社に融資をしたいとは思わないのです。
主な理由②友人と起業する場合
上記と同様のケースとして、友人と起業する場合もあります。
例えば、2人で起業する場合の株式の所有割合50%:50%や、3人で起業する場合の34%:33%:33%などです。株主の全員が実務ができて仲が良かったとしても、関係が悪化して創業時の主要メンバーである1人が抜けてしまうと、事業を継続できなくなる可能性があります。このような危険性が存在している場合は敬遠されてしまうのです。
もし友人と起業する場合は、株式の保有割合は最低でも過半数(50%超)は誰かが保有していること、理想は誰か1人が100%保有し他の方は取締役となってサポート役に徹していることが望ましいです。
創業融資に断られる原因(3)事業計画書に難がある
創業融資の申し込みの際の必要資料として事業計画書があります。事業計画書には、創業者の略歴や創業経緯、ビジョン・理念・目的、事業内容や戦略、収益予測などを記載する欄があります。この事業計画書の書き方で、「この人なら実現できそう・利益を出せそう」、「説得力がある」と思わすことができるぐらいの熱量が感じられなければ、当然融資審査に通ることはできません。
融資審査で重要となるポイントが大きく3つあります。
- いくら借りたいのか
- 借りたお金を何に使うのか
- 借りたお金をどうやって返すのか
これらをしっかり記載しなければいけません。
主な理由①資金の使い道が不明確、必要金額の根拠が不明確
- いくら借りたいのか
- 借りたお金を何に使うのか
この部分です。
とりあえず500万円借りたいんですが・・・
このような内容ですと当然ながら金融機関は審査に通してくれません。
資金の使い道としては2種類あります。これ以外の使い道は認めてもらえません。
- 設備投資
- 運転資金
設備投資の場合は、見積書を入手して必要金額の根拠を示す必要があります。例えば、店舗を借りる場合は、物件の初期費用や内装工事費用、備品等が該当します。この金額が記載された書類を用意してください。
運転資金の場合は、通常の事業活動で必要な資金をまず1ヶ月分を洗い出します。例えば、人件費や家賃、水道光熱費、広告宣伝費が該当します。これらが毎月いくら必要なのかを想定できなければ事業を続けることができませんので、リストアップする必要があります。創業時の場合は、基本的には売り上げがしっかり上がってくるまで3~6ヶ月分を目安として申し込みを行います。運転資金も根拠がある金額にします。過大な人件費や必要ないものなどを入れると審査に通らない可能性が高くなります。
主な理由②返済原資・返済能力が無い
- 借りたお金をどうやって返すのか
この部分です。
借りたお金は事業活動を行って得た利益から返済していきます。返済額以上の利益が出せなければ、返すお金を捻出することができません。創業融資は事業を開始する前・売上が上がる前の計画ですので、見込の金額となりますが審査の主なポイントは下記のとおりです。
- 売上の根拠、実現可能性が高いのか
- 経費の内容は妥当なのか
- いつから利益が出るようになるのか
この中では1.売上の根拠・実現可能性は非常に重要です。創業時は「絶対売れる!初月からお客様が来る!」と意気込みは素晴らしいのですが、その合理的な根拠を示すことができなければ、絵に描いた餅となってしまいます。
このように、融資の審査担当者は書類と面談だけで審査しますので、事業計画書がいかに重要な役割を持つかをご理解いただけたかと思います。
まとめ
金融機関の融資に通らない原因を実務経験に基づきいくつか解説しました。これ以外にも、プライベートで借りているお金がたくさんあったり信用情報に傷があるなど多数の原因があります。これから創業融資を考えている方や一度融資を断られてしまったなど、融資のご相談をしたい方は是非一度お問い合わせください。
ペネトレイト会計事務所は、融資・資金調達に強みのある会計事務所です。
融資サポートに十分な実績があり、事業計画の作成や面談対策など、融資を受けるための一連の手続きをサポートさせていただきます。
また、事業計画書の業種ごとのサンプルもご用意しております。それを基に経営者の皆様とじっくり相談しながらお客様に合った計画書を作成し、事業を発展させるサポートをさせていただきます。決算書を作るテクニックも有しております。
「融資の最新情報を知りたい」、「資金調達が必要」などお困りの際はご相談ください。