絶対に必要!融資の目的「4つ」を解説

とりあえず融資を受けたいのですが・・・、お金を借りることはできるのでしょうか?」

このようなご相談を受けることがありますが、残念ながら回答としては「No」です。
このままでは融資を受けることはできないでしょう。では、なぜ「No」なのか。その理由を解説します。

融資を受けるために大切な3つのポイント

融資を受けるために大切な3つのポイントがあります。

  • 目的:何のためにお金を借りたいのか
  • 金額:いつまでにいくら借りたいのか
  • 返済:借りたお金をどうやって返すのか

この3つのポイントは、どの金融機関であっても融資の申込書類である事業計画書に記載する必要があります。また、面談の際にも必ず聞かれる質問です。そのため、この3つのポイントを明らかにして、しっかり説明することができなければ融資を受けることはできません。

今回は、ポイントのうちの一つである「目的:何のためにお金を借りたいか」について説明します。

融資の目的は大きく分けて4種類

融資の目的は、大きく分けて4種類あります。

  1. 起業・開業資金
  2. 運転資金
  3. 設備投資資金
  4. 事業拡大資金

上記の4種類です。

起業・開業資金(創業融資)

起業・開業時には、まとまった資金が必要となります。
例えば、店舗や事務所を借りる場合には保証金や家賃のほかに、ガス水道・電気、電話などの設備費用、オフィス用品や家具などの什器備品、その他諸費用がかかります。
また、このような設備費用だけではなく、売上の入金があるまでの間の人件費や材料等の仕入代金、広告宣伝費などの運転資金も必要です。

開業費用の平均値は941万円
開業時の平均資金調達額は1,177万円
資金調達先は、金融機関等からの借入が平均803万円、自己資金が平均282万円

日本政策金融公庫総合研究所 「2021年新規開業実態調査」
日本政策金融公庫総合研究所 「2021年新規開業実態調査」 より引用

開業資金が500万円未満の割合が42.1%と最も高く、次いで500万円~1,000万円未満も30.2%を占めています。

日本政策金融公庫総合研究所 「2021年新規開業実態調査」 より引用

開業時は、開業資金を自己資金だけでは賄えないので、高い確率で金融機関からの借入を行っていることが分かります。

そのため、起業時はあらかじめ資金計画を立てる必要があります。
資金計画は、設備資金と運転資金の内訳を出します。運転資金は軌道に乗るまでのことを想定してください。平均すると3ヶ月~6ヶ月です。

運転資金

運転資金とは、事業を続けていくうえで必要となる資金のことを言います。

たとえば

  • 材料やモノの仕入代金
  • 従業員への給与の支払い
  • 事務所や店舗の家賃
  • 水道、電気、ガス、電話の利用料
  • 広告代

などがあります。仕入が伴うビジネスの場合は、このような諸費用を支払った後、しばらく経ってから商品などの売上が上がって入金されます。支払いがどうしても先行してしまいますので、売上の入金とのタイムラグを埋めるために運転資金の調達が必要となります。

運転資金の種類

運転資金の種類を細かく分けると下記の6つです。

1.正常運転資金
日々の事業活動において必要とされる一般的な運転資金です。仕入代金、給与、家賃などが該当します。

2.増加運転資金(つなぎ資金)
会社の業績が伸びている状態のときに発生する資金です。売上が増えると仕入代金や人件費も増加します。売掛金を回収するまで増加した費用を補うために必要な資金を増加運転資金と言います。

3.減少運転資金
事業の業績が悪くなった場合など、仕入代金や人件費の支払いが困難になった時に必要となる資金です。不足した資金を補うために必要となるため、早急に調達しなければなりません。

4.季節性運転資金
特定の時期に必要となる資金です。従業員の賞与支給時が代表的なものです。

5.納税資金
決算終了時に納税資金するための資金が必要になります。この納税資金も運転資金の一種です。

6.赤字補填資金
現象運転資金と同様ですが、さらに経営状態が悪化した状態の場合に必要となる資金です。慢性的に赤字が続くと資金が底をついてしまいます。そうなる前に資金調達をしなければなりません。

設備投資資金

設備投資資金とは、事業の維持・拡大を目的として設備を購入するために必要な資金です。

たとえば

  • 不動産(土地・建物)の購入
  • 車両の購入
  • 機械設備の購入
  • システムの購入

などが該当します。

設備資金は、運転資金と異なり日々の支払いに充てるものではありません。購入した設備を利用して売上を上げたりコストをカットするための資金です。設備を購入しても、その効果を上げるのに時間を要する場合もあります。
また、設備を導入したからといって必ず売上が上がる(受注が増える)わけではありませんので、見込が外れた場合のダメージが大きいです。

設備投資をする場合は、「必要性」と「効果」を十分に検討し、購入後もその効果を分析することが必要となります。

事業拡大資金

事業拡大資金とは、以下のような資金です。

  • 店舗や支店を出す資金
  • 人員を増加するための採用コスト

事業を拡大するために必要となる資金一式のことをいいます。特徴としては、売上や利益を回収するまでに時間がかかるため、資金計画をしっかり立てる必要があります。

まとめ

今回は、融資に絶対必要となる目的4種類を解説しました。

とりあえず融資を受けたいのですが・・・」の「とりあえず」では、融資が受けられないことはご理解いただけたかと思います。
また、お金が必要となる場合は、4つの目的のどれかに必ず該当すると思います。

融資を検討される際は、まずは融資を受けるための目的を明確にすることからはじめましょう。

ペネトレイト会計事務所は、融資・資金調達に強みのある会計事務所です。
融資サポートの実績があり、事業計画の作成や面談対策など、融資を受けるための一連の手続きをサポートさせていただきます。
「資金が必要なので融資を受けたいがよく分からない」「過去に審査で落ちてしまった」「今の顧問税理士は融資サポートを行っていない」など、融資でお困りの際はご相談ください。

この記事を書いた人

吉岡 博和

ペネトレイト会計事務所 代表税理士